「あ、あなたは、素人ではないというのですか?」

珍しく、右丸が反撃する。
そはや丸は、面白そうに呉羽の肩に顎を乗せた。

「ったり前よ。俺と呉羽は、一心同体だぜ?」

嘘ではない。
が、右丸は違う意味に取ったらしく、雷に打たれたように、茫然と立ち尽くした。

多子はといえば、さっきまで呉羽にひっついて震えていたのが嘘のように、目を輝かせている。

「まぁ、そういうわけなんだよ。私にはこいつがあるが、姫に武器はないだろう? もちろん、全力でお守りするが、動けなくなったときが困るんだ」

そはや丸の意図も、口を開けたままの右丸の心中も、一人わかっていない呉羽は、否定することもなく言った。
そはや丸の言葉に嘘はないので、否定する必要もないのだ。