妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

さて、その頃。
右丸の胸を散々痛めつけた張本人、そはや丸は、必死で声を殺しながら、笑い転げていた。

「そはや丸は、意地悪なのねぇ」

十歳ぐらいとはいえ、さすがは近く後宮に入ろうという娘だ。
そはや丸の意図を察したらしい。
しかも意地悪だというわりには、目が笑っている。

「何せ本性が化生のものなもんでね。純朴な人間をからかうのは、たまらなく面白いのさ」

悪びれる風もなく、そはや丸は、目尻に溜まった涙を拭いつつ言う。

「お姫さんこそ、楽しんでるようじゃないかえ」

そはや丸の言葉に、多子は、ふふっと笑った。

「わざわざ面白い芽を摘み取ることはないわ。まぁ、右丸のあの様子では、例えそはや丸が刀と知っても、微妙な感情は消えないような気がするけど」

「ほぅ?」

子供らしからぬ物言いに、そはや丸は興味を示した。

「だって、実体が何であろうと、見目良い殿方の姿をしていれば、女子(おなご)は身を任すものよ。だから、鬼に喰われるんじゃない」

---なるほど、そこかい---

そはや丸は、納得したように頷いた。