「その殿方、本当に妖刀なの?」
まじまじと扇の向こうからそはや丸を見て、多子が言った。
信じられないのも、無理はない。
世に妖刀は数あれど、人型を取れる刀など、そうそうないものだ。
「だって、刀のときは、あんなに恐ろしい気を放っていたのに、今はあまり感じられないわ」
「こんな魑魅魍魎が跋扈する葬送の地で、まともにいちいち気を感じ取っていたら、心がやられてしまいますよ。今は自然と、ご自分の力を制御しているのでしょう」
ようやく目が覚めてきたのか、呉羽は今までのぞんざいな口の利き方を改めた。
「そっかぁ。じゃあ案外、後宮でも平気かもしれないわね」
多子が、扇で口元を隠したまま、にこりと笑った。
「どうでしょうなぁ。女子(おなご)の嫉妬の念というのは、凄まじいものですから。自然の防壁など、簡単に突き破られるやもしれませぬ」
「は。呉羽の口から、‘女子(おなご)の嫉妬’とかいう言葉が出ようとはな」
揶揄するようなそはや丸に、多子が反応する。
「あら。刀さんこそ、今の言い方は、お姉様がどこぞの殿方と、そういうどろどろに巻き込まれてるのかという心配?」
この年頃の娘というのは、どうも色恋に話を持って行きたがるようだ。
まじまじと扇の向こうからそはや丸を見て、多子が言った。
信じられないのも、無理はない。
世に妖刀は数あれど、人型を取れる刀など、そうそうないものだ。
「だって、刀のときは、あんなに恐ろしい気を放っていたのに、今はあまり感じられないわ」
「こんな魑魅魍魎が跋扈する葬送の地で、まともにいちいち気を感じ取っていたら、心がやられてしまいますよ。今は自然と、ご自分の力を制御しているのでしょう」
ようやく目が覚めてきたのか、呉羽は今までのぞんざいな口の利き方を改めた。
「そっかぁ。じゃあ案外、後宮でも平気かもしれないわね」
多子が、扇で口元を隠したまま、にこりと笑った。
「どうでしょうなぁ。女子(おなご)の嫉妬の念というのは、凄まじいものですから。自然の防壁など、簡単に突き破られるやもしれませぬ」
「は。呉羽の口から、‘女子(おなご)の嫉妬’とかいう言葉が出ようとはな」
揶揄するようなそはや丸に、多子が反応する。
「あら。刀さんこそ、今の言い方は、お姉様がどこぞの殿方と、そういうどろどろに巻き込まれてるのかという心配?」
この年頃の娘というのは、どうも色恋に話を持って行きたがるようだ。


