妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

一方右丸は、妻戸のすぐ傍に、へたり込むように腰を下ろしたものの、相変わらず真っ赤な顔で俯いている。

そはや丸は、そんな右丸をにやにやしながら眺め、ふと思いついたように呉羽の背後に回ると、先程投げた組紐を呉羽の手から奪い、わざとゆっくり呉羽の髪を梳きながら、紐で括り始めた。
呉羽も別に気にした風もなく、そはや丸に、されるがままになっている。

そはや丸が、ちらりと右丸を見ると、右丸は泣き出しそうな顔で、こちらを見ていた。

---面白ぇ奴。もっと苛めてやりたくなるねぇ---

そはや丸が、意地悪く笑う。

右丸は、呉羽に惚れている。
わかった上で、そはや丸は右丸を苛めているのだ。

多子は、呉羽の髪を縛る男に、恥じらいもなく、ますます目を輝かせている。

三人三様の胸の内を、当の呉羽一人が全く理解していない。

「もぅ、お姉様ったら。お姉様も、背の君の前では、大人しくなるのね」

にやにやと笑いながら、呉羽を小突く多子に、呉羽は訝しげな顔をした。

「背の君? 誰のことだ。大体大人しくしておらんと、髪が括れんだろ」

そはや丸は、多子ににっこりと笑いかけ、呉羽の肩を掴んで、背後の自分に、もたれさせた。

「さ、できたぞ」

ああ、と答え、相変わらず大人しくそはや丸にもたれかかったままの呉羽に、多子は鼻血が出んばかりに興奮し、右丸はとうとう、俯いてしまった。