「う、右丸・・・・・・」
おろおろとする多子に、右丸は頷く。
しかし多子は、右丸の袖を引っ張って言った。
「右丸も来てよ。一人じゃ怖いわ」
「しかし・・・・・・」
「車はきっと、大丈夫よ。こんなところ、人も来ないわ」
なおも渋る右丸とのやり取りを振り返って見ていた呉羽の影は、つ、と進み出、二人の前を横切ると、多子の乗ってきた車に手を触れた。
次いで、牛にもそっと、手を触れる。
右丸は車のすぐ近くにいたため、自然呉羽の影は、彼の間近にいることになる。
微妙に透けている影とはいえ、姿かたちは、呉羽そのものだ。
右丸は、ぼぅっと目の前の呉羽に見惚れた。
『これで誰かがこの地に来ても、この車には気がつかん』
右丸は、一気に現実に引き戻された。
何しろ先程から、この呉羽の口から出るのは、男の声なのだ。
『さっさと来い』
再び呉羽の影は進み出す。
影だけに、滑るように進んでいく。
右丸は車を見上げた。
右丸の目には、どこが変わったのかわからないが、多子に促され、右丸も蓮台野に足を踏み入れた。
おろおろとする多子に、右丸は頷く。
しかし多子は、右丸の袖を引っ張って言った。
「右丸も来てよ。一人じゃ怖いわ」
「しかし・・・・・・」
「車はきっと、大丈夫よ。こんなところ、人も来ないわ」
なおも渋る右丸とのやり取りを振り返って見ていた呉羽の影は、つ、と進み出、二人の前を横切ると、多子の乗ってきた車に手を触れた。
次いで、牛にもそっと、手を触れる。
右丸は車のすぐ近くにいたため、自然呉羽の影は、彼の間近にいることになる。
微妙に透けている影とはいえ、姿かたちは、呉羽そのものだ。
右丸は、ぼぅっと目の前の呉羽に見惚れた。
『これで誰かがこの地に来ても、この車には気がつかん』
右丸は、一気に現実に引き戻された。
何しろ先程から、この呉羽の口から出るのは、男の声なのだ。
『さっさと来い』
再び呉羽の影は進み出す。
影だけに、滑るように進んでいく。
右丸は車を見上げた。
右丸の目には、どこが変わったのかわからないが、多子に促され、右丸も蓮台野に足を踏み入れた。


