妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

「おいらがこの右丸に託されたってことは、そうなるのかな。お屋敷に帰ったら、あっさりおいらを包んだ布を、右丸に渡したんだ。右丸は初め、おいらを怪我した鳥だと思ってたみたい。可哀相に~とか言って、布を取った途端、飛び上がりやがったよ」

くすくす笑いながら、烏丸は言う。

物の怪でも、烏丸の人懐こさに、只人(ただびと)も大して恐怖しないのかもしれない。
烏丸の幼さもあるだろうが。

「でもおいらが死にそうなほど弱ってるのを見て、必死で介抱してくれたんだよ。けど、おいらを襲った陰陽師は、執念深い奴でさ。今のお屋敷にまで、式が飛んでくるようになって。幸い飛んできた式は、失せ物探しの力しかなかったからよかったけど、おいらがいることがわかれば、次は攻撃できる式を飛ばしてくるかもしれないでしょ。だから、右丸が狼狽えてさ」

「で、右丸の身体に入り込んだわけか」

呉羽の言葉に、烏丸はこくりと頷いた。

「あ、でもちゃんと、右丸と相談したのよ。別においらが入ったところで、右丸に悪影響があるわけじゃないし」

「術も使わず気配を消すには、人に入って静かにしておくのが一番だからな。さらに器は、純粋な子供であればあるほどいい」

納得したように、呉羽は頷きつつ言った。
これで何も見えないにも関わらず、この童がやたら気になっていた理由がわかった。

そうこうしているうちに、車は北野に着いた。