妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

「み、巫女様。何を・・・・・・」

蒼白になって震える童を鋭い目で見据え、呉羽は低い声で言った。

「お前、何か入ってるな。何者だ?」

呉羽とのやり取りで気が緩んだのか、僅かに童の中に、異形のものが見えた。
だが呉羽の力を持ってしても、ぼんやりとしか見えない。
初めに気づけなかったことといい、よほどの大物かもしれない。

しかし。

童は、しくしくと泣き出した。

ぎょっとしたのは、呉羽だけではない。
そはや丸からも、戸惑ったような感情が流れてくる。

「な、何者だと聞いてるんだ。私に泣き落としなど、通じんぞ」

騙されてなるものかと、呉羽は剣先で童の顎を上げる。
途端に童は、顔をくしゃくしゃにして、盛大に泣き声を上げた。

「うわあぁぁん! 折角陰陽師から逃れたのに、こんなところで死にたくない~っ!」

姿は変わらないが、歳が一気に五つほど幼くなったように、童は泣きじゃくる。