「見たというか・・・・・・」
牛飼童は、少し言いよどみながら、口を開いた。
「目眩のような感じがしたのですよ。そのときに、身体が焼けるような・・・・・・感じがしたのか、そういう幻覚を見たのか、定かではないのですが、そのせいで訳のわからないことを口走ってしまったのでしょう」
「ふぅん?」
相変わらず、呉羽はじっと童を見る。
やはり何も見えない。
が、気になる。
しばらくそのまま無言で進んでいたが、やがて牛飼童は、いたたまれなくなったように振り返った。
「あの、巫女様。そう凄い視線を、投げないでください」
「何故、私が見ているとわかるのだ」
「凄い視線を、びしびし感じます」
「お前、やはりただ者ではないな」
しかしわからん、と、呉羽は胡座をかいて、息をついた。
「あのぅ。巫女様は、本当に蓮台野にお住みなので?」
「ああ。怖いか? 怖いなら、北野辺りで捨ててくれてもいいぞ」
帰りは一人だしな、と言う呉羽に、童は、ぐっと黙ったが、すぐに反撃に出る。
「み、巫女様だって、北野で別れれば、お一人で蓮台野まで行かねばならないじゃないですか」
「自分の家に帰るのに、何の怖いことがある」
ふふん、と鼻を鳴らした呉羽は、次の瞬間、そはや丸を抜いて、童の首筋に狙いを定めていた。
牛飼童は、少し言いよどみながら、口を開いた。
「目眩のような感じがしたのですよ。そのときに、身体が焼けるような・・・・・・感じがしたのか、そういう幻覚を見たのか、定かではないのですが、そのせいで訳のわからないことを口走ってしまったのでしょう」
「ふぅん?」
相変わらず、呉羽はじっと童を見る。
やはり何も見えない。
が、気になる。
しばらくそのまま無言で進んでいたが、やがて牛飼童は、いたたまれなくなったように振り返った。
「あの、巫女様。そう凄い視線を、投げないでください」
「何故、私が見ているとわかるのだ」
「凄い視線を、びしびし感じます」
「お前、やはりただ者ではないな」
しかしわからん、と、呉羽は胡座をかいて、息をついた。
「あのぅ。巫女様は、本当に蓮台野にお住みなので?」
「ああ。怖いか? 怖いなら、北野辺りで捨ててくれてもいいぞ」
帰りは一人だしな、と言う呉羽に、童は、ぐっと黙ったが、すぐに反撃に出る。
「み、巫女様だって、北野で別れれば、お一人で蓮台野まで行かねばならないじゃないですか」
「自分の家に帰るのに、何の怖いことがある」
ふふん、と鼻を鳴らした呉羽は、次の瞬間、そはや丸を抜いて、童の首筋に狙いを定めていた。