多子に引き摺られるように、再び頼長の前に出た呉羽は、最早唯一の頼みの綱である頼長が、多子の呉羽を傍に置きたいという申し出を一蹴してくれることを望んだが、残念ながら頼長は、さして興味も示さず、二つ返事で多子の意見を呑んでしまった。
---この親馬鹿がっ!---
心の中で盛大に悪態をつきつつ、呉羽は再び多子に引き摺られ、東の対の屋に向かった。
「さぁ、どうぞ」
晴れやかに言う多子とは打って変わり、お付きの女房たちは、皆怪訝な顔で呉羽を見る。
いい加減、不機嫌さがピークに達していた呉羽は、容赦なく彼女らを睨み付け、さっさと退散させてしまった。
「多子姫様。この者は?」
ほぼ全ての女房が、呉羽の視線に恐れをなしてさがっていったが、さすがに古参女房らしき年かさの女房は、一人残った状態でも、凛と呉羽を見据えて言った。
「私の護衛をしてくれる、外法師よ。部屋を用意してあげて。あまり離れたところは嫌よ」
外法師という言葉に、女房の片眉が跳ね上がる。
呉羽を頭の先から爪先まで眺め回し、最後に馬鹿にしたように、鼻を鳴らした。
---この親馬鹿がっ!---
心の中で盛大に悪態をつきつつ、呉羽は再び多子に引き摺られ、東の対の屋に向かった。
「さぁ、どうぞ」
晴れやかに言う多子とは打って変わり、お付きの女房たちは、皆怪訝な顔で呉羽を見る。
いい加減、不機嫌さがピークに達していた呉羽は、容赦なく彼女らを睨み付け、さっさと退散させてしまった。
「多子姫様。この者は?」
ほぼ全ての女房が、呉羽の視線に恐れをなしてさがっていったが、さすがに古参女房らしき年かさの女房は、一人残った状態でも、凛と呉羽を見据えて言った。
「私の護衛をしてくれる、外法師よ。部屋を用意してあげて。あまり離れたところは嫌よ」
外法師という言葉に、女房の片眉が跳ね上がる。
呉羽を頭の先から爪先まで眺め回し、最後に馬鹿にしたように、鼻を鳴らした。


