呉羽はまだ赤子の頃に、生きながら鳥辺野に棄てられた。
蓮台野と同様、葬送の地である鳥辺野には、ありとあらゆる物の怪がたむろしている。
その物の怪の中の一人(匹?)が、何を思ったのか、呉羽を育ててくれたのだ。
呉羽を育ててくれた物の怪は、髪も肌も着物も、何から何まで真っ白な女性だった。
彼女の髪が出家した女性のように、肩の辺りまでの長さしかなかったため、呉羽は彼女を‘比丘尼(びくに)様’と呼んでいた。
呉羽が十を過ぎたころ、比丘尼は呉羽に呪(しゅ)を施した。
呪による強烈な目眩に気を失った呉羽が目覚めたとき、比丘尼の姿はなく、代わりにこの男がいたのだ。
男は呉羽の右腕全体に浮き上がった紋様を指し、それが自分との契約の証だと言った。
男の実体は降魔の力を秘めた妖刀である。
妖刀というだけに、その力は凄まじく、生半可な者では使いこなせない。
さらにこいつは、持ち主の身体に直接取り憑くのだ。
取り憑かれたが最後、妖刀にどんどん生気を吸い取られ、木乃伊(ミイラ)のようになって、妖刀が離れた途端、塵と化す。
もしくは生気を吸い尽くすまでも待てない妖刀に、取り憑いた部分を斬り取られる。
憑かれた場所によっては、命を落とさずに済むかもしれないが、五体満足ではいられない。
しかし呉羽は、すでに五年ほど、この妖刀である男と一緒にいる。
生気を吸われて、痩せ細っているわけでもない。
貧しいが故の体型ではあるが。
蓮台野と同様、葬送の地である鳥辺野には、ありとあらゆる物の怪がたむろしている。
その物の怪の中の一人(匹?)が、何を思ったのか、呉羽を育ててくれたのだ。
呉羽を育ててくれた物の怪は、髪も肌も着物も、何から何まで真っ白な女性だった。
彼女の髪が出家した女性のように、肩の辺りまでの長さしかなかったため、呉羽は彼女を‘比丘尼(びくに)様’と呼んでいた。
呉羽が十を過ぎたころ、比丘尼は呉羽に呪(しゅ)を施した。
呪による強烈な目眩に気を失った呉羽が目覚めたとき、比丘尼の姿はなく、代わりにこの男がいたのだ。
男は呉羽の右腕全体に浮き上がった紋様を指し、それが自分との契約の証だと言った。
男の実体は降魔の力を秘めた妖刀である。
妖刀というだけに、その力は凄まじく、生半可な者では使いこなせない。
さらにこいつは、持ち主の身体に直接取り憑くのだ。
取り憑かれたが最後、妖刀にどんどん生気を吸い取られ、木乃伊(ミイラ)のようになって、妖刀が離れた途端、塵と化す。
もしくは生気を吸い尽くすまでも待てない妖刀に、取り憑いた部分を斬り取られる。
憑かれた場所によっては、命を落とさずに済むかもしれないが、五体満足ではいられない。
しかし呉羽は、すでに五年ほど、この妖刀である男と一緒にいる。
生気を吸われて、痩せ細っているわけでもない。
貧しいが故の体型ではあるが。


