「ごめん!そっちにボール飛んでこなかった??」 それは、 爽やかな透明感のある声。 いつの間にか誰だかわかるぐらい聞き慣れていた、 翔の声だった――。 『……。』 無言でそちらに振り向く。 翔は私の姿を見て、目を少し大きくして驚いた顔をしたが、 「あっ!早口、おはよう!」 すぐに明るく微笑んだ。 そんな翔を、私は白々しい表情で見る。 だって…、今は放課後だし。 『おはよう』なんて言う時間帯ではない。