思えば、私は翔のこと全然知らない。


家族構成も、クラスも。
電話番号も、アドレスも。


会っていた場所はいつだって、美術室や美術室のフェンスで。


私はそこに訪れるたびに、君のことを思い出すだろう。



初めて、恋をした。

初めて、恋する楽しさを知った。

同時に、恋する痛みも知りました。



『……っ。』



そっと願う。


好きだから、
愛していたから。


どうか、翔の夢、

そして私の夢を



叶えてください――…。