翔から全てを聞いた私は、放心状態。 涙なんか、出なかった。 私が失ったもの、 数時間の記憶、腕、手。 そして、 絵を描くこと――。 『私、もう絵が描けないんだな…。』 口に出すと、それがダイレクトに実感する。 瞼の裏には、何度も頭を下げる翔が浮かび上がった。 翔…、すごい必死だった。 心から、反省しているように見えた。 だから、憎めない。 それに、私を変えてくれた人。 私が大好きな人、なんだもん。 憎めるわけないよ…。