『…私でよければ。』 戸惑いはあったけれども、私は手のひらでしっかりとチケットを受け取った。 翔が、お母さんやお父さんでもなく、 私を選んでくれたこと。 それが純粋に嬉しい。 そして何より、 全国大会で真剣に走っている翔を、この目で見たかったから。 誰よりもフィールドで輝く君を、 頭のなかに焼き付けたかったから。 だから、 私はチケットを受け取ったんだ。