胸が、ギュッと苦しくなる感覚。


それが私の心を襲う。


鼓動が、有り得ないぐらい激しく脈打っていた。



…よくわからないけど。


この人が翔を好きなんて、嫌。


好きになってほしくない。


…そんな風に思う私は、最低なんだろうか。



「…早口結衣ちゃんだよね??」

『えっ…』

「いい絵を描くなぁ。
って、ずっと思っていたの」



そう言って朗らかに笑う彼女は、

とても悪い人には見えなかった。