やがて、翔によって運ばれたボールは、



――シュトン


風をきって、ゴールを揺らがした。



…描きたい。


その音も、形も。
その汗も、翔の握り拳も。


翔の、最高の笑顔も。


全部、この紙に書き留めたい。


描いていきたいの――…



そう思って、鉛筆を握った時だった。



「…隣、いい??」



ふわりと、石鹸のような自然な香りが、風によってなびく。


慌てて横に振り返ったら、そこには、


可愛らしい小柄な女性がいた。