ボール自身が翔に歩み寄るように。 ストンと翔の足へと、ボールが弧を描いた。 ボールを受け取った翔は1つ頷くと、勢いよく走り出す。 そんな翔を見た私は、声にならない感嘆を上げてしまった。 …すごい、すごい。 まるでボールと一体化してるみたいに、きめ細かな動き。 敵チームが一斉に道を塞いでも、 翔は冷静な判断で、スルリと交わす。 そりゃ、サッカーの有名校に呼ばれるぐらいだし、凄い才能は持っているんだろうけど… 想像以上だ。