唇を、ぎゅっと紡ぐ。 なんで、翔は全てわかってしまうのだろうか。 『…なりたいけど。 なれない。』 「なんで??」 『親がうるさいから。』 そんな夢、とっくに諦めていた。 教育熱心な私の親が、美術家など許すわけがない。 「…あぁ、お母さん厳しいんだっけ。」 翔は思い出したように呟く。 そういえば、一回翔と同じような話をしたことがあった気がする。