「まだ美術家になる夢を諦めていない… だから、そんなに絵を大事にしてるんじゃん。」 翔は空を見上げた。 そして、大きく息を吸う。 「…一緒に、頑張ろうな。」 ――きっと。 翔と私には、決定的に違う点がある。 その『何か』が少しだけ見えたような気がした。 「…あっ。俺、練習に戻んなくちゃ。 顧問の先生が怒ってるし!」 そう言って、慌てて立ち上がる翔。 翔の視線の先には、どんどん形が大きくなっている、体格のいい先生がいた。