すると、杏が俺の腰に抱きついてくる。


スリスリと顔を押し付け、大きく深呼吸を繰り返した。


「どうした? 変な夢でも見たか?」


頭を撫でながら問いかけると、フルフルと顔を横に振る。


なにかあれば、俺に伝えようと行動するので……本当に何もないようだ。

単に甘えたいだけか?

何の反応もせずに、俺に抱きついてくる杏を抱き寄せて、気付く。



コイツ、下着つけてねぇ!



最近、昼寝する時に『なんかキツいから』と言って、ブラを外していることが多かったが。


まさか、今も外しているとは……。


無遠慮に、杏の柔らかい部分が押し付けられる。

コイツは、気付いてねーのだろうか?

今日の杏は、肩が出るブラウスに、ひざ丈のスカートだ。


背中を触ってみても、やはりブラのホックはない。


ホントにノーブラかよ。


こんなの、浴衣を着た時くらいしかなかったのに。


つーか、北原がいなくてよかった。

俺に抱きついて、見えないとはいえ……ノーブラ状態の杏を他人に見せるのは非常に癪だ。