雨はやむことがないまま放課後を迎える。


――ゴロゴロ……


ついには雷まで鳴りだした。

あ~あ。

ホントに傘持って来て正解だったな。

こんな中で帰ったら、絶対に風邪引くもの。



日直だった私は、仕事を済ませて、帰ろうとした。

けど……。


「田丸~~! お前日直だよな、ちょっと手伝ってくれ」


帰ろうとした矢先に、担任の吉田先生につかまってしまい……雑用を頼まれた。

会議に使う資料をホッチキスで止めて、先生の書類の片づけ。

その他にもいろいろとコキ使われて……帰るのが遅くなってしまった。



頼まれてから3時間後---。

大雨のせいで、今日は校内に誰も残っていない中、ひとりで生徒玄関に向かう。

まだ雨は降っていて、やむ気配はない。

もうっ! 吉田のバカ!

こんなに遅くなって、どうしてくれるのよ。


雨と雑用にイライラしながら、生徒玄関まで来た時。


「ね~雨やまないね~?」


女の子の声が聞こえた。

誰?

足音を忍ばせて、物陰に隠れ……声の主を盗み見しようとする。


すると。


「誰かな~? あと10分で雨が止むって天気予報したのは?」

「うっ……!」


大好きな人の声も聞こえてきた。

え? せ、先パイ?


滝本先パイの声が聞こえる。

もしかして、私の近くにいるの?

ウソッ! こんなこと滅多にないよ!!


ひとりで興奮して、心臓の音が大きくなる。

だって、あの憧れの先パイが近くにいるんだもん。

うれしすぎる!