「ね、茜はプレゼント何がいいと思う?」

アトリエの中。
中間発表前の修羅場。
手を動かしながら茜に聞いてみた。

偶然なんだけど、茜の彼氏が重樹とおんなじ科で学年も同じ。
相談に乗ってもらうには1番いいかもしれない。

「んー…とりあえず唐揚げは手作りで。」

「……からあげ?」

「そう。唐揚げ。」

「なんでまた…?」

「それで今ケンカ中だから。」

「……。」

唐揚げでケンカ?
ケンカになるもの?!
しかもその話をする茜が怖い…。
いつも怒ったりしない子なのにな…。

「そんな激しくケンカしたの…?なんで?」

思わず気になる。
茜も手を止めて私に向き直る。

「誕生日にケーキ作ったんだよ。」

「うん。」

「ケーキ頑張ったから唐揚げに手が回らなくてスーパーサトウで買ってきたの。お惣菜。」

「ふん。ふん。」

「で。キレたの。唐揚げに。」

「え…?ケーキ作ったのに…?」

「うん。てか、どうやらサトウの唐揚げまずくて嫌いらしい。それで別れる別れないのケンカ。」

「………。」

唐揚げだけで…?
なんと心の狭い彼氏…。
というかケーキ作ってもらってワガママだろ!!

「…だから。唐揚げは手作りが重要。」

ビシッと筆を立てて言う茜。

「…なるほど。早く仲直りしなよ。」

「さぁ…?」

そう言いながら絵をまた描きはじめた。
…茜が怖い。


男心って女の子が考えるより複雑なのかな?

どうしよう…。
ますます困った………。