優が帰ってきてから一週間。

まだ、何も出来ずに過ごしていた。


「奈々ぁ?」


ソファーの向こうから首だけ動かしてアタシを見た優。


「何したらいんだろ?」

「何が?」

「何をしたい?」

「優と一緒にいたい。」

「ずっと?」

「ずっと。」


そう言うと優は困ったような顔をする。


「冗談。優、遊びに行こう?」

「どこに行きたい?」

「カラオケでしょ?映画館、遊園地、それからいっぱい買い物したい。」

「いくら金があってもたりないなぁ。」


なんて優は笑った。


「よし!行くか。」

「やったぁ!!」


これが優との最後の思い出になるかもしれないと思うと少し苦しくなった。

そんなことを気づかせまいと笑顔を作って優に見せる。



トゥルルトゥルルトゥルル・・・・トゥルルトゥルル・・・・


アタシの携帯が鳴った。

優はそれをつまんで投げる。


「ほらっ!!」

「ありがと。」


携帯のディスプレイには『暁 直人』と表示されていた。

先生からだった。