――杏樹Side――
陸が病室を出て行った直後、会長が入って来る。
「ちゃんと言えたか」
何をかというと……陸への別れ話。
あたしからは、きっぱりと話したのに……あの人は承諾してくれなかった。
なんで?
別れ話は嬉しいことじゃないの?
本命の二宮さんのところに行けるんだよ?
疑問ばかりが、頭の中を占める。
どうして……「別れたくない」って言ったんだろう。
布団を握ってた手に重ねられた陸の手は、前と変わらない温かさがあったけど……震えてた。
「……別れたのか?」
「ううん……」
ブンブンと顔を横に振る。
会長が隣にいても、俯いたまま白い布団を見つめていた。
陸が病室を出て行った直後、会長が入って来る。
「ちゃんと言えたか」
何をかというと……陸への別れ話。
あたしからは、きっぱりと話したのに……あの人は承諾してくれなかった。
なんで?
別れ話は嬉しいことじゃないの?
本命の二宮さんのところに行けるんだよ?
疑問ばかりが、頭の中を占める。
どうして……「別れたくない」って言ったんだろう。
布団を握ってた手に重ねられた陸の手は、前と変わらない温かさがあったけど……震えてた。
「……別れたのか?」
「ううん……」
ブンブンと顔を横に振る。
会長が隣にいても、俯いたまま白い布団を見つめていた。