――杏樹Side――

寮に近い東門から入り、部屋に帰った。

今日は、土曜日。

学園は休みだから…1日ゆっくりしていられる。

リビングに行くと、零ちゃんの姿は、なかった。


「西国君とデートかなぁ…?」


それか…実家に帰ってるかだね。

部屋に零ちゃんがいないことを、あまり気にせず、小腹が空いたので…キッチンに向かう。


「何作ろうかな……」


学校の寮にしては、大きな冷蔵庫を開けた。


「やば………買い出しに行かないと」


最後に食事を作ったのが…昨日の朝。

だから…冷蔵庫の中身を、ほとんど使い切っていたことを、忘れていた。


「作る前に…買い物行くか…」


自室にバックを取りに行き、お財布と携帯をつめる。

戸締まりを確認して、部屋を出ようとした瞬間…。


「ただいま〜〜」


零ちゃんの声がした。