「はる…?大丈夫?
でもはる、進路決まってるんでしょう?
なら、それを早めに陽くんに言った方がいいんじゃないかな…って思っただけ。
陽くんも、はるの進路のこと、誰よりも心配してると思うし。」

「…そうだね。
陽のとこ行ってくる!!」

「うん。いってらっしゃい。」



* * *

にしてもどこにいるんだろう…
もう放課後だし…
いつもなら教室で勉強してたりするんだけど、教室にいなかったし…


あたしはドアの開いた進路相談室の前を横切った。
そこから聞こえてきたのは…


「五十嵐、T大学の過去問の添削しておいたぞ。
ほとんど満点に近い解答だった。」

「ありがとうございます。」

「五十嵐の志望学部はどこなんだ?」

「教育学部です。」

「T大は教育学部の最高峰だからなー。
お前の実力なら大丈夫だ。
また問題解いたら持ってきなさい。添削するから。」

「ありがとうございます。よろしくお願いします。」



T大って…県外の大学…だよね…
しかも…ここから結構遠い。

あたしの足が少し竦む(すくむ)。