「星来。」

「え?」

「ちょっと…話がある。」

「えっと…はい…。」



あたしを呼んだのは紫紀さん。
みんなを白斗さんの部屋に残して、あたしと紫紀さんはリビングに行く。



「あの…紫紀さん?」

「魔法を覚えたてのお前にこんなことを言うのは申し訳ないと思っている。
だが、次の国が次の国だから…お前にいち早く覚えてもらいたい魔法がある。」

「え…?そっ…それはどんな魔法ですか…?」

「…ヒールだ。」

「えっ?だってそれは白斗さんが…。」

「ヒールの使い手は、自分の傷を癒せない。」

「え…?」

「ヒールの使い手が癒せるのは自分以外の傷だけだ。
次の国では…白斗が傷つくのは目に見えている。」

「どうして…ですか…?」

「着けば分かる。
とにかく…身体の傷は…お前にしか治せない。」

「そんな…あたしだって出来るかどうか…。
それに紫紀さんだって…魔力が大きいって…。」

「俺は何度もヒールの習得を試みたが出来なかった。
緑志や蒼刃、桃依では魔力が足りない。
勝手なことを言っているのは、充分分かっている。
だがあいつは…。」



苦しそうな顔を顔で俯く紫紀さん…。

紫紀さんは…きっと…知っているんだろう。
あたしの知らない…
まだ知っちゃいけないことを。

だったらあたしは…。