「本当に…お前なのか…?」

「ホントに…あたしだよ…。」


なんだか声が涙で震えているようにも聞こえる。
だから俺は抱きしめる腕の力を強めた。


「全部…本当に全部思い出したのか…?」

「全部…かどうかは分かんないけど…。
みんなのこと…ちゃんと思い出した。
みんなで旅したことも、どんなことがあったのかも…あたしが最後に使った魔法も…。」

「…俺は怒ってるんだからな。」

「え…?」

「勝手に忘れやがって。
しかも何なんだよ。ミサンガに言いたいことだけ言い残していって。
約束も…破りやがって。」

「だからそれは…ごめんって…。」

「ごめんで許されねぇだろ。
俺は…ずっと言おうと思ってた。全て終わらせたら。
なのにお前は…勝手に全て終わらせて、勝手に全部忘れた。
ぜってぇ許さねぇ。」

「…蒼刃なら絶対怒るって分かってたもん。
でも…死なせたくなかったの。
あたしが封印の魔法を使えば…みんなの命は絶対に助けられるって…。」



俺は星来の頭をグーで殴った。軽くだけど。



「いったーい!!なっ…何すんのっ!?」

「死んでた。今まで。」

「え?」