そう言ってあたしの手を自分の右頬に持っていく桃依。


「桃依…あたし、桃依の気持ちが…。」

「うん。いいよ、ボクの気持ちを読んでも。
今ね、とってもとってもいい気持ちなんだ。
その気持ちをね、星来に分けてあげたい。
それに…ね…
星来がこうやって傷の部分に触れていてくれるだけで、ボクにとっては充分『癒し』になるよ。傷なんてすぐ良くなっちゃう♪」

「桃依…。」


桃依があたしの手を離してくれる様子も無くて、あたしはそのまま桃依の右頬に触れている。
目の前の桃依はすっと目を閉じる。


『星来…聞こえる?』

「え?」


あたしの心に直接響く桃依の声。


『その様子じゃ聞こえているみたいだね。
じゃあこのまま聞いてて。
一番最初に、星来に聞いてほしかったことだから。』


あたしは桃依の目を見てゆっくりと頷いた。