「忘れる…必要?」
「朝霧紫紀。」
「何だ?」
「忘れたいと思って…忘れることは出来るのだろうか?」
「…忘れたいことでもあるのか?」
「…忘れなければ精神を正常に保っていられそうにない。
望みがないなら…忘れてしまいたい。何もかも。」
姫の記憶が戻ることはまずあり得ない。
それならば…いっそ全てなかったことにしたい。
姫がくれた愛も友情のようなものも…全て。
また『無』に戻るのならば、それは姫の手ではなく自分の手で…。
「俺も前に…星来に同じことを尋ねた。」
「え…?」
「華央のことを忘れたいと願った。
忘れなければ前に進めないと思っていた。
弱いままの自分であってはならない…。だからこそ強くなるためには忘れることが必要だと思った…。
でもそれは全て違った。」
「違った?」
「忘れることなんて出来ない、星来は俺にそう言った。
そしてそれは正論だった。
俺は華央を忘れることなど出来ない。
忘れたいと…本気で願うはずもなかった…。
ただ心が憔悴しきっていただけ…。
逃げたかっただけなのだと気付かされた。」
「逃げ…。」
「ああ。
星来はもし仮に俺たちが死んでしまったとしても忘れたくないと言ってくれた。
そしてもし…自分が死んでしまったとしても…忘れられたくないとも言っていた。
それは星来の本心だろう。
あの時も…今も。」
紫色の鋭い目が私を捉えた。
「朝霧紫紀。」
「何だ?」
「忘れたいと思って…忘れることは出来るのだろうか?」
「…忘れたいことでもあるのか?」
「…忘れなければ精神を正常に保っていられそうにない。
望みがないなら…忘れてしまいたい。何もかも。」
姫の記憶が戻ることはまずあり得ない。
それならば…いっそ全てなかったことにしたい。
姫がくれた愛も友情のようなものも…全て。
また『無』に戻るのならば、それは姫の手ではなく自分の手で…。
「俺も前に…星来に同じことを尋ねた。」
「え…?」
「華央のことを忘れたいと願った。
忘れなければ前に進めないと思っていた。
弱いままの自分であってはならない…。だからこそ強くなるためには忘れることが必要だと思った…。
でもそれは全て違った。」
「違った?」
「忘れることなんて出来ない、星来は俺にそう言った。
そしてそれは正論だった。
俺は華央を忘れることなど出来ない。
忘れたいと…本気で願うはずもなかった…。
ただ心が憔悴しきっていただけ…。
逃げたかっただけなのだと気付かされた。」
「逃げ…。」
「ああ。
星来はもし仮に俺たちが死んでしまったとしても忘れたくないと言ってくれた。
そしてもし…自分が死んでしまったとしても…忘れられたくないとも言っていた。
それは星来の本心だろう。
あの時も…今も。」
紫色の鋭い目が私を捉えた。



