「…言葉もないようだな。
星来がそんな素振りを見せなかったからだろうが…。」

「…。」



記憶が戻ったような様子なんて…全然なかった。
この国に戻ってきたから…記憶も戻ったのか?
それなら…記憶を失っていたあいつに、たった一つだけ残っていた記憶も…。



「故郷は記憶を呼び起こす。
それはお前にも言えたことだろう、蒼刃。
お前の書き換えられた記憶が戻されたのも故郷で、のはずだ。」

「…。」

「お前の父親を刺し殺した感覚は…今でも鮮明に思い出せる。
弱いお前を守ろうとしなければ、父親は私と対等に剣を交えることが出来たかもしれない。
…なんとも愚かな男よ。

そしてもっとも愚かなのは蒼刃…お前だ。
そんなお前に私は倒せない。」



俺を蔑んだような笑みを浮かべると、真っすぐに剣を俺に突きつけてくるイアル。
俺はその剣を剣で受け止めた。






「お前を殺して、この手でビシアスにしてやろう。」

「…いちいちうるせぇんだよ…イアル。」



俺のこの手で…終わらせる。全て。



「お前はお喋りが多すぎる。
お前は俺が斬る。必ずな。」


俺は剣を突き返した。