アクアマリンの秘密

「…早くこの水盆から出ないとなぁ…みんなが心配だし。」

「もうすぐ出られる。
俺を斬ったからな。」

「え?」

「憎しみの感情を斬った。だから進める。
…最期にお前にこうしてちゃんと会えて、俺は素直に嬉しい。
悪かったな…長い間、苦しめて。」

「そんなこと…。」


そんなの燈龍のせいじゃない。
こうして燈龍に謝罪の言葉を吐かせてしまった自分の弱さに嫌気がさす。
そして、なんだか得体の知れないものが喉の奥に込み上げてきて熱い。


「まさか…あんな風な態度を椿がとるとは思わなかった。
お前が俺をどう思っていたかは知らないが…俺はお前を本当に分かり合える親友だと思っていた。
だから命なんて…奪えるはずがない。
最初から死を覚悟して挑んだ勝負だ。国を守ることが出来るのなら俺は命なんてどうでも良かった。
…なんて、かっこいいこと言えれば良かったんだけどな。」

「え?」

「本当は…まだしたいことがたくさんあった。
もっと腕を磨きたかったし、もっと未来を見たかった。
お前に恋人が出来たら、そいつにも会いたかったし。」

「はは…。まぁ全然いないけどね。」

「お前、見た目はそんなに悪くないんだから頑張れよな。」

「燈龍に言われても嫌味にしか聞こえないよ。」

「…んなことはない。
お前は全てを乗り越えた。強くなった。あの頃の俺よりもずっと。
お前はお前だけの未来を選択しろ。
それが遺言だ。」


そう言った途端、燈龍の指先が白く光る。