「僕たちは機械じゃない。
だからいつでも強くあろうなんて無茶な話だよ。
だから…守る時にはしっかり守ればいいし、甘えるときは甘えればいいと思うよ。
ずっと一人で真っすぐ立つなんて…しんどいからね。

星来は…弱い蒼刃も強い蒼刃も…受け止めてくれるだろう?」

「…ああ。」



俺は短く頷いた。



「だから蒼刃は今…こうしていられる。
星来が蒼刃を立ち直らせてくれた。
僕はただ素直にそのことがすごく嬉しい…。
辛かった自分の過去なんて、忘れてしまえるほどにね。」



俺の目には緑志の緑の目が映る。

…やっぱり緑志は兄貴だと…本気でそう思う。

俺と緑志は双子で、緑志は兄、俺は弟だけど、普段はそういうことなんて気にしたこともない。
幼いころから常に対等だったし、控えめな緑志はなんでも俺に先を譲ってくれた。
兄貴ぶったりもせず、俺の無茶を止めもせず遠目で見ている、そんな奴だった。

普段は兄らしさなんて少しも感じさせないくせに、時折見せる揺るぎないこの瞳と言葉は…やっぱり自分を『兄』だと言っているようにしか俺には見えなかった。

俺はある点において、緑志を越えることなんて一生出来ないだろう。





「そういうところが…勝てねぇんだよな…、俺は。」

「え?」

「いや…こっちの話。」

「蒼刃ー。」