「行こっか。
緑志にご飯作ってーってお願いしに行こ?」

「ああ。」


どうやら自分がどれほど俺をまごつかせることを言ったのか、全く自覚していないようだ。
だからまだ手も離さず、そのまま俺を引っ張っていく。
抵抗するくらいの力は残っているのに、抵抗しないのは…その手を離したくはないから。
俺は握られた手をそっと握り返した。





「蒼刃だぁー!!
ようやくご飯食べる気になったのぉ?」

「…まぁな。」

「しかも星来となんかラブラブな感じ?」

「えっ!?あっ…そうじゃないのっ!!」



慌てて俺の手をパッと離す星来。
まぁ…指摘されりゃ、そういう態度をとるわな。
顔…赤くなってるし。…単純なやつ。



「りょっ…緑志っ!!ご飯作って!!」

「え?だって星来はさっき食べて…。」



そう言ってキッチンの方から出てきた緑志。

その目線は、星来から俺へと移り、ゆっくりと焦点が俺に定まっていく。




「蒼刃…。」