アクアマリンの秘密

「なんだよ…白斗。」

「…だって痛みを残しておきたいなんて言っていた紫紀が、星来と話しただけで傷を治したいって言い出すなんてさ。
それに…どこかすっきりした顔をしてたし。」

「そうか?俺にはいつもと変わんねぇように見えたけどな。」

「蒼刃は鈍感過ぎるよぉ~。
さすがにボクでもなんか紫紀がさっきとは違うなって思ったし。」

「うるせぇ。」

「でも、星来はいっぱい無理しちゃったね…。
こんなに…倒れちゃうくらい…。」

「そういうところ、紫紀はきっと、華央に似てるなって思っただろうね。
星来に何を言われたのかは知らないけど…
…あくまでオレの予想だけど、星来は紫紀の欲しい言葉をくれたんだと思う。オレの時もそうだったから…。
いつだって星来はオレたちがその時、一番欲しいと思う言葉をくれる。
苦しくて動けない時だから…その言葉の重みも効果も絶大だ。」

「星来が泣いたり悲しい顔をするのはすっごく嫌だけど…
でも星来の涙って…すごく温かくて、ボクはすごく…嬉しかったな。
星来の涙のおかげでボクは傷つかずに済んだ…。
星来は…ボクたちを守ってくれてるっていつも思うよ。」

「…そうだね、桃依。
さて、そろそろ星来を運んだら?蒼刃。」

「言われなくても分かってるっつーの。」


そう言って星来を…とても大切そうに抱きかかえる蒼刃。
気持ちが…零れている。その腕からも、眼差しからも。