華央にも星来にも…俺は確実に守られている。
守ると口にしておきながら…。

華央には、その命と引き換えに俺の命を守ってもらった。
星来には…今の俺を守ってもらっている、そんな気がしてならない。



「顔は全く似ていない…。」



眠る横顔は全くと言っていいほど似ていないのに、やはりその内側に華央を感じる。




「忘れるなって…言ってるのか、華央?」




忘れるなんて無理だ。そんな簡単なこと、分かっているはずなのに、俺は華央を忘れようとすることで自分の弱さ全てを忘れようとした。
華央を忘れることは、俺の全てを忘れることだというのに…。


忘れはしない。忘れることなんて出来るはずがない。
俺が死ぬその時は必ず、お前の顔を思い出す。
雪の中で優しく微笑んでくれたお前の顔を。

お前の遺言を守るために…俺は強くなる。
お前との思い出をそのまま持って。




「そろそろ蒼刃に返さないとな。」





俺は一人でそう呟いて、星来を抱きかかえた。

雪に濡れたその顔は、何故かどことなく華央を思い出させた。