「ああ。
力はもちろん強いが…その強さに伴う精神を保とうとして…無理していた。
本当の華央は…最強の魔女なんかではなかったんだ。
それを見抜いた者は…。」

「…紫紀さんだったんですね。最初に華央さんにそう言ってあげたのは。」

「…それは分からない。」

「分かります。だから華央さんは…紫紀さんを好きになったんだと思います。
フェイの中から華央さんを呼び起こした時…伝わりました。」

「何がだ?」

「…華央さんがいかに紫紀さんを想っていたか、です。」



星来の声はいつもよりはっきりと耳に届いた。



「華央さんの心は紫紀さんでいっぱいでした。
華央さんの心を全て読んだわけではないです…だけど…読もうとしなくても聞こえてくるんです。
…華央さんは…紫紀さんのことをとても…とても大切に想っていました。」



…分かってる。いや、分かっていたはずの話。
でもそれを改めて聞くと、やっぱり嬉しい半面苦しい。
どうして俺は…最愛の人を守れなかったんだ、と悔やまれて。
俺じゃない人間だったら…もっと強い人間だったら、華央を守れたのだろうか…なんて、今更考えてもどうしようもないことまで考えてしまう。



「華央さんが…羨ましいです。」

「羨ましい?」