「イアルとセリユの狙いは星来…あなたよ。」

「え?」

「だから気を付けて。
今の私にはそれしか言えないけど…。
自分の魔力の限界値を早く把握して、使いこなせるように…。
そしてみんなは…全力で守って。
あの二人に星来を渡してはだめ。」

「…渡す気なんてさらさらねぇよ。
それより…奴らの目的は?」

「それは…私にも分からない。
私はずっと『フェイ』というビシアスのフィルターを通してしか世界を見ることが出来なかったから…。
ビシアスはあの二人の『手駒』として造られた、感情なき操り人形。
フェイは…2番目のビシアスとして造られた。
知り得た情報は…ジャニアには及ばない。」

「ジャニアって最初に会った…。」

「そうよ。赤髪のビシアス。
ナチュラルアースの襲撃はジャニアとマイサだったわね。
そのジャニアが…最初のビシアス。
ジャニアは…とても多くの情報を持っているわ。
次の場所では…ジャニアが来るはず。」

「そいつを倒せば…イアルたちの情報が手に入るってわけか…。」

「そうとは限らないわ。
ジャニアは…先の読めないビシアスなの。
感情は持ち得ないはずなのに、まるで人間のように自由に活動しているわ。

でもジャニアに負けるということは星来を引き渡すということ。
それだけは絶対にしてはだめ。
だからジャニアを倒すのがまず先決よ。

…少なくて申し訳ないけど…私が掴んでいる情報と言えばそのくらいだわ。
フェイは本当にただの『手駒』だった。
悔しいほど…イアルに忠実な。」


そう言って、華央さんは悔しそうにぐっと右手を握った。