「…なんで俺のことが嫌いなんだ？」

「…別に嫌いじゃないって言ってるでしょ？」

「その口調が嫌いだと言っている。」

「別に人に嫌われることを気にするような性格じゃないでしょ？」

「…まぁ…確かに自分にとってどうでもいい人間には好かれようが嫌われようが構わない。だが…。」


そう言いかけた朝霧紫紀とまたしても目が合う。
…目が合うのは私が合わせたからではなくて、こいつが変なところで話を止めるからよ!!


「…お前はどうでもいい人間ではない。」

「は？」


意味が分からなかった。
『…お前はどうでもいい人間ではない』？
私は…あなたのことが大嫌いだって言うのに？


「二度は言わない。」

「なんで？」

「…聞こえただろう？」

「理解出来なかったわよ。」

「何故だ？」

「…意味が分からないから。」

「…だから…何故かと聞いている。」

「どうして私がどうでもよくないのよ？」


私は嫌いなのよ、あなたことが。
あなただってそう自覚してるじゃない。

なのに…。
朝霧紫紀は私の方をじっと見て口を開いた。



「有坂華央だからだ。」