「紫紀さんが…危ない。このままじゃ…。」

「え?」

「紫紀さんは…多分心のどこかでフェイを華央さんだと思っている節がある。
だから本気で戦えないんだよ…。きっと。」

「でも…フェイが華央だとは言い切れないよっ!!
下手に近付いて星来も殺されちゃったら…。
ボク…そんなの嫌だよ…嫌だよ…星来。」

「フェイはあたしを殺したりしない。
さっきも言ってたじゃない?みんなを殺してあたしを連れていくって…。
だからフェイがあたしを殺すことはないと思う。あたしよりも…みんなの方が危険。
そして何より…本気で戦えない紫紀さんが一番危険。」

「星来…。」




「紫紀はまだ手こずってんのか!?」

「…みたいだね。フェイはオレたちをクロアーツで足止めしてるみたいだし。
この吹雪が止まないってことは、フェイはまだ動いてるってことだ。」

「…らしくねぇな、紫紀…。」

「まったくだね。らしくない。」

「つーかこの吹雪のせいで視界悪すぎだし。
まぁこいつらが弱ぇから余裕だけど。」

「そうだね…でも、紫紀が心配。」

「緑志!!お前、ちゃんと星来にシールドはったんだろうな?」

「やったよ…。当たり前だろ。
でも…星来がシールドの中に大人しく収まってるかどうかは分からないけどね。」

「どういうことだよ?」

「星来は僕たちよりもはるか上空にいる。
だから…紫紀の戦う様子が見えてるはずだ。
今の紫紀の姿を、星来が大人しく見ているだけのはずがないなって…。」

「んなもん、早く言えよ!!」

「…好きなら気付いてほしいところだけど?」

「緑志に同意。」

「うるせぇ!!」