* * *


「星来っ!!どこも怪我してない?」

「うんっ。大丈夫だよ。それよりも…。」


気になるのは紫紀さんのこと。
あたしはまた、みんなに守られてクロアーツ達とも、フェイとも離れた場所へと隔離されている。
あたしを守るために桃依はフライを使って、そばについていてくれる。
だから…目がいく。紫紀さんに。
さっきから…ずっと辛そうな顔で戦う紫紀さんに。



「フェイって…やっぱり華央さんな気がする…。」

「え?」

「だから…紫紀さんは戦いにくいんじゃないかな…?」

「でも…死んじゃった人間を生き返らせるなんてこと…。」

「出来るわけないって分かってるよ。でも…ただ顔が似てるだけなら…ただ顔が似ているだけの全くの別人なら…紫紀さんには分かるよ。きっと。
だって…世界で一番大切な人なんだから…華央さんは。」

「…。」

「フェイが一瞬だけでも『華央さん』に戻ってくれたら…。」

「え?」

「失った心を取り戻して、自分の中に『フェイ』の狂気を押さえこんで…『華央さん』に戻れたら…。」

「そんなことっ…だってまだフェイが華央かどうか分かんないのに…。
危ないよ、星来。ダメだよ…星来。そんな危ないことしちゃ…。
それに出来るかどうかだって分かんないし…。」


泣きそうな顔をしてあたしの腕を掴む桃依。