「遅れてごめんね。」 『ううん、大丈夫。』 今、爽やかに謝罪を浮かべている人は、 笹塚 健。 あたしの当時の彼氏。 やっぱり初のお付き合いってことで、それなりに緊張する。 彼に会う度にドキドキしてたし、彼を直視なんかできなかった。 だけど、そんな緊張よりも楽しみの方が多くて。 少女漫画のような恋、 それに憧れていたあたしは、甘い初恋ライフを夢見ていたんだ。 ――この後、悲劇が起こるとは知らずに。