だから尚更なのかもしれない。 先生は他の男とは違う。 ちゃんと1人の人を、 ちゃんと『あたし自身』を真っ直ぐ見てくれる。 それを、証明して欲しかったんだ。 「…そうだな。」 しばらく考えていた先生だったが、やがて口を開いた。 「全部、かな。」 『……。』 一瞬、時が止まる。 全部って…。 『そんなのあるわけないじゃん。』 これが先生の言葉に対して、出た言葉。