恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



「3-Aの新井に迫られてたろ」

「あれはっ、『送らせて欲しい』って強く言われて仕方なく一緒に帰ってたら、急にあそこに連れ込まれて、それで……」

「髪を触られたってわけか」

「だ、だけどっ、その瞬間なんでだか強い風が吹いて、新井くんのカバンが川に落ちちゃったから、何もされなかったもん」


必死に説明する必要もないけど、それでもちゃんと説明したのに。

藍川は返事もしないで、またスタスタと歩き出す。


そして、またぴたりと止まる。


「2週間前、ここで起こった事は?」

「2……、ここで?」


住宅街に入ってすぐにある公園。

遊具もないし、サッカーだとか野球のできる広さのない公園は、人気がなくていつも人がいない。

たまにカップルがいちゃついてるくらい。


そんな公園で、2週間前に起こった事……。