恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



たいして仲良くもない上に、男子なのに。

最初はどうなる事かと思ってハラハラしたけど、実際一緒に帰ってみると、妙に落ち着くっていうか……。

なんかちょっと懐かしいような、変な感じだった。


もしかして……、あたしと藍川、波長でも合うとか?

……『王子様』とか呼ばれちゃってる藍川と、いたって平凡なあたしが?


シンデレラストーリーにも思えて、そんなのありえない、と一人で笑みを零した。



校門を出るまでに、何人かの生徒とすれ違ってその度に驚いた目を向けられた。

追って聞こえてくるのは、

『やっぱり付き合ってるとか?!』
『えー、生徒会長はみんなの王子様なのに!』

とか、そんな言葉。


それを気にもせず歩く藍川の横顔を、こっそり眺める。