「あたしが好きすぎて、記憶が戻らない間血を吸うのを我慢しちゃうくらい好きなんでしょ……?

3年前も、先週も……。女のあたしが迫るまで吸わないんだから。

優しすぎるよ、紫貴は。

紫貴に無理やりにでも血を吸われれば、ショック療法とかで、もしかしたらもっと早く思い出せたかもしれないのに。

ただ見守ってるだけなんて……優しすぎるよ。

昔から、優しすぎる」


そこまで言うと、紫貴の顔色が変わる。

信じられないような顔をした後……、困り顔で微笑む。


だけど、その瞳がライトに照らされてキラキラ光っていた。


「まさか二度もあんな風に迫られるとは思わなかった。

……優しすぎるのはくるみの方だ」

「あたしが紫貴をどれだけ好きか分かったでしょ?」

「ああ。分かった」

「逃げてもムダだって……、あたしに遠慮なんかする必要ないって、思い知ったでしょ……?」