恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



「こないだ、帰り道に表札見かけて。俺の家、その先のアパートだから」

「そうだったんだ……」


納得しながら、靴を履き替えて玄関を出る。

……藍川と一緒に。


これってつまり、やっぱり一緒に帰るって事だよね……?

藍川にそんな意思がないにしても。

藍川の家がうちの先にあるって事は、藍川かあたしが寄り道しない限りは必然的にそうなるわけで……。


藍川は、進んで話しかけてくれるタイプじゃない。

だから、昨日もあまり会話もなかったんだけど……。

なんでだか、その沈黙はあまり気にならなかった。


2人きりでいての沈黙って、相手によってはすごく気になって必死に会話とか探すんだけど。

藍川は全然大丈夫だった。