恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



そんな事を思いながら立ち止まっていると、先に階段を降りきった藍川が振り向く。


「帰るんだろ?」

「あ、うん」


なんだか急かされる様に聞かれた気がしたから、慌てて階段を降り始めたけど……。

その途中で疑問符が浮かぶ。

『帰るんだろ?』って、なんかまるで一緒に帰るみたいな言い草じゃない? 


だけど、藍川は立ち止まって待っていてくれてるみたいだし、とりあえず足を進めて藍川の隣に並ぶ。

と、ようやく藍川が歩き出す。


長いコンパスの藍川だったら、あたしなんか待たずにスタスタ歩けるのに。

藍川はあたしの歩く速度を知っているみたいに、完璧にあたしに合わせてくれていた。


そういえば、昨日家まで送ってくれた時もそうだったっけ。

いつも一緒に帰ってるんじゃないかってくらいに歩幅も速度も一緒で……って、あれ?


「ねぇ、昨日送ってくれたけど、なんでうちの場所知ってたの?」


道順さえ、あたしがいつも使う道と一緒だった。

藍川はうちを知らないハズなのに。