恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



 ※※※


「じゃあ、挨拶運動は来週水曜日からって事でお願いします」


その日の生徒会を無事終えて、下駄箱に続く階段を降りていた時。

後ろから話しかけられた。


「お疲れ様」


こんな風に、突然後ろから話しかけられた場合、相手は決まってる。


下校時間から一時間以上過ぎた今、校舎内にはそれほど生徒はいないし、いっつもなぜか音も立てずにあたしの背後をとる人と言えば……。


「残ってたなら生徒会でてよね、藍川会長」

「体調が悪くて教室で休んでた。挨拶運動はいつから?」

「……水曜日」

「了解」


振り返らないまま答えていると、歩き出した藍川がすぐ隣を追い越して階段を降りていく。

一瞬近づいただけなのに、それだけで神経のほとんどを藍川に持っていかれてる。


やっぱりなんか変な呪いとかかけられてるんじゃ……。

わら人形とか……なんか変な魔方陣みたいのに、へびとかの生贄と一緒に呪文を唱えられてたり……。