恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―



「なにそれ」

「なにそれって……そうなるでしょ?」

「なんないよ。そりゃあ近寄りがたいし、あんな端正な顔に見られたら緊張はするけど、それだけでしょ」


当たり前の事なのに何言ってるんだろう、なんて思いながら聞き返すと、きっぱりと否定されてしまって。

びっくりしながら聞く。


「え……鼓膜溶かされそうにならない?」

「なんない」

「考えてたことがすっぽり抜け落ちて、頭の中支配されない?」

「……くるみ、変なもの食べた?」


しつこく聞くと、変な目でそんな事を言われる。

バカにしたように言う祐ちゃんに、口を尖らせて首を振った。


「食べないよ。漫画みたいなセリフ言わないで」

「漫画って。あ、じゃあもっと漫画っぽく言ってあげる。

くるみ、変な魔法にでもかけられたとか?」